EDUCATION
EDUCATION
なぜキレイであることが大切なのか。
それは、私たちが普段当たり前に過ごしている日常が、見えない部分で支えられているからです。
目に見えない部分にこそ社会や人生を支える大きな基盤があり、
誰にでもできる掃除は、その重要性に気づくきっかけになります。
だからこそ、掃除教育を推奨しています。
見えるものばかりが評価や価値の基準になりがちな現代社会。
収入・偏差値・試験の点数などの数値化できるものを重視するあまり、
良い教育や良い医療は富める者しか手にすることができなくなってしまい、
より多く持ちより大きくなることが豊かな人生の基準になっているように感じます。
その結果、無意味な競争が生まれ、心の貧困が加速し社会問題となっています。
では、本当に豊かな人生とは何でしょうか。
私は小さなころ、祖母に「心の貧乏だけは絶対してはならない。お金は自分では操作できないことで失うことがあるけれど、心の豊かさは自分で築けるんだから」と教わりました。
心が豊かであれば、何かに左右せれることなく真に豊かな人生が送れると伝えたかったのだと今では理解しています。
では、豊かな心とは何でしょうか?
2010年代以降、非認知能力とよばれる数値化することが難しい能力が注目を浴びています。
その中には誠実性や自己認識、忍耐力や好奇心、セルフコントロールなど人間性に係わる心理特性があり、それらを育てることの重要性が指摘されています。つまり数値化されるものの得点の前に、数値化されない「やる気」「自主性」「主体性」「協調性」などの豊かな心を育む教育が大切であるというのです。
では、豊かな心を育てるにはどうすればいいのでしょうか。
心を育むことを目的としたスクールは多くありますが、授業料が発生するため誰にでも受けられるわけではありません。
私は、日常生活の中に豊かな心を育てる機会が沢山埋まっていると考えており、そのひとつが掃除(ゴミ拾い)であると信じています。
なぜ掃除(ゴミ拾い)が豊かな心を育てるのか。
掃除(ゴミ拾い)は目に見えないものを見る力を育む力があります。
何故なら、汚れやゴミは隠れていることが多いからです。
また掃除(ゴミ拾い)という仕事自体も目に見えずに日常を支えている仕事の一つであり、その非日常を体験することには大きな気づきがあるからです。
実際に掃除やゴミ拾いをするには、汚れやゴミを「自主的」に見つける必要があります。
次にその汚れやゴミを「主体的」に除去します。その汚れやゴミを除去するのが困難であれば、良い方法がないか調べるなどの探求心を働かせねばなりません。
もし掃除(ゴミ拾い)を複数人で実施するのであれば、実施する場所の区分けや役割分担、時間配分をすることとなり、「協調性」や「計画性」「戦略性」が必要となってきます。
そして何よりも、掃除やゴミ拾いをする場では職業や立場・学歴・年齢・性別・国籍などは全く関係なく、皆平等であることで多様なコミュニケーションと学びの機会が生まれ、心を育むのです。
とはいえ、掃除が嫌いな人が多いのも事実です。
そこでKIZUKUプロジェクトでは、掃除(ゴミ拾い)の前に、何故掃除をし、キレイであることが何故大切なのかをまず知ることが大切と考えております。
やらされる掃除(ゴミ拾い)からやりたい掃除(ゴミ拾い)に変えるのがKIZUKUプロジェクトの大きな特徴です。
最後になりますが、不自由なく過ごしている日常。
そのあたりまえのように過ごしている日常を支えているものが一体何かを考えたことはありますでしょうか。
何気なく過ごしている日常の多くは、意識しなければ見えてこない社会活動によって支えられています。
世界最古の木造建築である法隆寺。
1400年もの間、崩れることなく続いているのは間違いなく時代を超えて多くの人々がメンテナンスをしてきたからです。
しかし、どれだけの人がそれらの人々を目にしたことがあるでしょうか。またどれだけの人が法隆寺を訪れてそれらの人々を意識するでしょうか。
フランス パリではストライキにより市内では未回収のごみが推計1万トンに達し、
ネズミが500万匹発生するといった問題が発生しました。
この問題のように今まであたりまえに回収されていたゴミが、ある日突然回収されなくなった時、今まで見えてこなかった非日常が顕在化するのです。何かの事情でそれらの社会活動が止まり、それによる問題が顕在化した時に初めて視界から意識へと入り込み、その時には今回のパリのように大きな問題となっていることが多いのです 。
人間関係も同じです。目に見えない人が私たちの日常を支えてくれています。
あなたの住まいをキレイにしてくれているのは誰でしょうか?
あなたの洋服を洗濯してくれている人は誰でしょうか?
あなたの食事を作ってくれているのは誰でしょうか?
一人で生きているという方もいるかもしれませんが、あなたが手にしているものを作ってくれたのは誰でしょうか。
誰でも人に支えられていることは明らかですが、そこに意識が向かないことが多いのも事実かと思います。
だからこそ、見えないものを見ようとする力はとても大切なのです。見えない所で支えてくれている人を意識することはより多くの感謝を生み、それを抱き感謝の気持ちを伝えることは、心だけでなく対人関係や恋愛関係にも良い影響を与えることがわかっているからです。
つまり、目に見えない部分にこそ社会や人生を支える大きな基盤があり、それを意識することがコミュニティや地域、世界の平和に繋がり、その見えない部分を見る力を養う力が、掃除(ゴミ拾い)にはあるのです。
誰にでもできる掃除(ゴミ拾い)を学び・実践する事を通じて、豊かな心を育み、豊かな人生を歩きませんか?
Kizukuプロジェクト
大塚耕一