「病が語る日本史」から学ぶ、人間の秘めた力

酒井シヅ「病が語る日本史」から読み解く、人間の力と医療の進化

酒井シヅ氏の著書『病が語る日本史』を読み終えました。この本は、人間が見えない「病」に怯えながらも、それに立ち向かってきた歴史を紐解き、私たちが本来持つ驚くべき力を教えてくれます。

縄文時代に見られる驚異の生命力

現代のような医療がなかった縄文・弥生時代。それでも当時の人々の生命力や自己治癒力の強さを、遺跡から発掘された人骨が物語ります。

例えば、福島県の三貫地貝塚では、矢じりが骨盤に刺さったまま治癒した男性の骨が発見されました。矢じりを包み込むように新しい骨組織が形成されており、この男性が激痛や大量出血に耐えながら長く生き延びたことが分かります。また、骨折後に癒着した骨も見つかっており、人々の自己治癒力の強さを実証しています。

神頼みの医療から科学的医療へ

5世紀に漢方が中国から伝わりましたが、奈良・平安時代には疫病を「神の祟り」とみなす考えが主流でした。医療の中心は祈祷であり、現代のような治療はありませんでした。そのため、人々は自己治癒力に頼るほかありませんでした。

しかし、明治維新の頃になると、西洋医学の普及により病気の原因が科学的に解明され、宗教と医療が分離されるようになりました。この転換によって、医療が病気治療の中心となり、多くの命が救われるようになったのです。

現代医療の進化と失われた「本来の力」

近代になると医療は高度化し、衛生環境も整備され、多くの病気が治るようになりました。その結果、平均寿命は大幅に延びました。しかし、その一方で、人間が本来持つ治癒力や抵抗力は低下してしまいました。

縄文時代のように矢じりが刺さったまま生き延びることは現代人には難しいかもしれません。それでも、人間の「本来の力」に目を向け、その可能性を考えることは重要です。

自分の力を信じて、現代を生き抜く

SNSが普及し、他人の華やかな生活を目にする機会が増えた現代。自分の無力さに悩むこともあるでしょう。しかし、人間にはまだ眠っている「本来の力」があるはずです。

忙しい日々に疲れたら、一度立ち止まり、古代の人々の力強い生き方に思いを馳せてみてください。この本を読んで、私自身も「自分の中にある秘めた力を信じてみよう」と思いました。