循環する世界と、見えざる力
生と死。生産と分解。
あらゆるものには表と裏がある。それは当然のことだろう。しかし、その関係を一直線に捉えず、循環として認識している人は、今どれほどいるだろうか。
現代の資本主義社会では、「より多く、より大きく」が成功の証とされる。成長の先に価値があると信じられ、その過程で生まれる廃棄物や脱落者は、表の世界に居場所を失う。一方で、SNSの発展により、かつては見えなかった裏の世界の人々も、表の世界を容易に観察できるようになった。それは、表の世界への執着を生み出し、心も体もすり減らす結果を招いている。
しかし、そもそも「表の世界」とは、資本主義が生み出した幻想に過ぎないのではないか。
実は、見えざる裏の世界にこそ、生の躍動がある。
土が枯れれば、豊かな実りは生まれないように、分解というプロセスこそが、新たな生産の土台を築いている。良い土が良い果実を育てるように、良い土台が良い人格を育む。だからこそ、循環を意識し、良い土を育てることは、未来への最も本質的な投資なのだ。
